火気使用願の書き方|参考様式第9号の欄、管理方法の選び方、日ごとの終了確認の記録
火気使用願は、溶接・溶断・採暖などで火を使う前に、使う会社が元請の許可を願い出る書類です。全建統一様式の参考様式第9号では、使用場所・目的・期間・時間・火気の種類・管理方法・責任者を書き、元請が許可番号と許可条件を書きます。この記事では、内装工事の途中で開口補強の鋼材を溶接する記入例を使い、欄の書き方と、使い終わったあとの確認の残し方を説明します。
目次
火気使用願は、現場で火を使う作業をする前に、元請の許可を受けるための書類です。建設現場では、溶接や溶断の火花、防水工事のバーナー、冬の採暖のヒーターなどが火災の原因になります。元請は、どこで・いつ・どんな火を使い、どう備えるかを確かめてから許可を出します。
この記事では、株式会社〇〇鉄工(二次)が、株式会社サンプル建設の「〇〇ビル新築工事作業所」の3階で、間仕切り壁の開口補強の鋼材を溶接する場面を例にします。会社名・人名・日付・時刻はすべて架空です。現場で使っている火気使用願と並べて、書き方を確かめる材料にしてください。
火気使用願とは|火を使う前に元請の許可を受ける書類
火気使用願とは、火気を使う会社が、使用場所・目的・期間・時間・火気の種類・管理方法・責任者を書いて、元請の所長に許可を願い出る書類です。全建統一様式では参考様式第9号「火気使用願」がこれにあたります。現場によっては「火気使用届」「火気使用許可願」など別の名前で、元請独自の様式を使っています。
参考様式第9号には、火気使用の終了時には必ずその旨を報告する、という一文が入っています。火気使用願は、許可を受けて終わりではなく、使い終わったことを報告するところまでが1組の書類だと考えると、運用の形が分かりやすくなります。
火気使用願に関わる労働安全衛生規則の主な決まりを、書類の欄と並べます。
| 条文 | 決まり(要旨) | 火気使用願のどこに関わるか |
|---|---|---|
| 第279条 | 危険物や可燃性の粉じん、多量の燃えやすい物があって火災のおそれがある場所では、火気や火花を出す機械を使ってはならない | 使用場所 |
| 第285条 | 引火性の油類や危険物が残るおそれのある配管・タンク・ドラム缶などは、取り除くなどの措置をしてからでなければ溶接・溶断をさせてはならない | 使用場所・取扱上の注意 |
| 第288条 | 火災・爆発の危険がある場所では、火気の使用を禁止する表示をし、特に危険な場所は立入を禁止する | 標識 |
| 第289条 | 火災の原因になる物を扱う場所などには、適当な消火設備を設ける | 消火器・防火用水・消火砂 |
| 第291条 | 火気を使う場所には火災予防上必要な設備を設け、火気を使った者は残火の始末を確実にする | 管理方法・終了の報告 |
火気使用願を出して使い終わるまでの流れ
火気使用願を出して使い終わるまでの流れは、作業の場所を下見するところから始まります。
- 場所を下見する火花が飛ぶ範囲と、近くの可燃物・下階の状況を確かめる
- 願を書く使用場所・目的・期間・時間・火気の種類・管理方法・責任者を書く
- 許可を受ける元請が許可番号・許可年月日・許可条件を書く
- 備えて使う消火器・防炎シート・受皿などを置き、監視をつけて作業する
- 後始末を確かめる終わったら火元を見回り、確かめた時刻と人を記録する
- 終了を報告する元請の係員に終了を報告する
いちばん抜けやすいのは、最後の2つです。作業が終わって片付けを急ぐと、火元の見回りと報告が後回しになります。日ごとの記録の欄を用意して、確かめた時刻と人を書くことにしておくと、抜けが目に見えるようになります。
火気使用願の書き方|場所・目的・期間・火気の種類
火気使用願の上の欄には、提出日・事業所の名称・所長名・一次会社名・使用会社名・現場代理人を書き、その下に火を使う内容を書きます。記入例は次のとおりです。
| 欄 | 記入例 | 書き方 |
|---|---|---|
| 使用場所 | 3階 東側 間仕切り壁の開口補強の取付け箇所(X3〜X4通り) | 階・方角・通り芯まで書く |
| 使用目的 | 溶接(開口補強の鋼材の取付け) | 溶接・溶断・圧接・防水・乾燥・採暖・湯沸・炊事・その他から選ぶ |
| 使用期間 | 2026/11/16〜11/20 | 作業の予定の日 |
| 使用時間(原則) | 9:00〜16:00 | 毎日の使う時間帯 |
| 火気の種類 | 電気(交流アーク溶接機) | 電気・ガス・灯油・重油・木炭・薪・その他から選ぶ |
使用場所は、元請の係員が見に行ける細かさで書くことが大事です。「3階」だけでは、どこで火を使っているのか分かりません。通り芯や部屋名まで書いておくと、元請の巡回でも見つけやすくなります。
参考様式第9号では、使用目的・火気の種類・管理方法は、当てはまるものを丸で囲む形になっています。電気の溶接機でも「火気」として扱うのは、溶接の火花やスパッタ(溶けた金属の粒)が可燃物に飛んで火災になることがあるからです。
火気使用願の管理方法の選び方
火気使用願の管理方法の欄には、消火器・防火用水・消火砂・防炎シート・受皿・標識・監視が並んでいて、用意するものを丸で囲みます。記入例では、次のように選んでいます。
| 管理方法 | 記入例 | 選ぶときの目安 |
|---|---|---|
| 消火器 | 用意した(2本) | 火を使うなら必ず用意する |
| 防火用水 | 用意した(バケツ2杯) | 消火器の補助として |
| 消火砂 | 該当なし | 油類を扱うときなど |
| 防炎シート | 用意した(下階への火花よけ) | 火花が飛ぶ作業・下に可燃物があるとき |
| 受皿 | 用意した(スパッタ受け) | 溶接・溶断の真下 |
| 標識 | 用意した(「火気使用中」) | 周りの人に知らせる |
| 監視 | 用意した(同じ会社の作業員1名) | 火花が見えない場所に飛ぶおそれがあるとき |
管理方法の選び方で大事なのは、作業の場所に合わせることです。開口や隙間があって下の階に火花が落ちるなら防炎シートと監視、真下に断熱材や梱包材があるなら片付けてから受皿、というように、下見で見たものから選びます。取扱上の注意の欄には、記入例のように「可燃物を周りから片付けてから始める」「終了後は元請の決まった時刻に見回る」など、その現場での約束を書きます。
火気使用願を書く前の下見で見ること
火気使用願の管理方法を正しく選ぶには、書く前の下見がいちばん大事です。労働安全衛生規則の決まりから、下見で確かめておきたいことを並べます。
| 下見で見ること | 関係する決まり(要旨) |
|---|---|
| 近くに燃えやすい物・可燃性の粉じん・危険物がないか | 火災のおそれがある場所では火気を使わない(第279条) |
| 溶断する配管・タンク・ドラム缶に油類や危険物が残っていないか | 取り除くなどの措置のあとでなければ溶接・溶断をしない(第285条) |
| 風通しの悪い場所か | 換気が不十分な場所で火気や火花の出る作業をするとき、酸素を換気に使ってはならない(第286条) |
| 消火器を置ける場所があるか | 火災の原因になる物を扱う場所には消火設備を設ける(第289条) |
内装工事の途中の溶接では、壁の中の断熱材や、床に置いた梱包材が近くにあることがよくあります。下見で見つけたものは、取扱上の注意の欄に「〇〇を片付けてから始める」と具体的に書いておくと、作業する人にも伝わります。
責任者の欄は、火元責任者(後始末巡回者)と火気使用責任者の2つです。火元責任者は、火を使った場所を使い終わったあとに見回る人として書く欄で、記入例では△△ △△、火気使用責任者は作業を指揮する〇〇 〇〇です。
火気使用願の記入例|許可と日ごとの終了確認
火気使用願の下の欄は、元請が書く許可の欄です。参考様式第9号では、許可番号・許可年月日・防火管理者・担当係員・許可条件の欄があります。記入例では、許可番号は第12号、許可年月日は2026年11月13日、許可条件は「作業の前に下階の可燃物を確かめる。昼休み・終了時は元請の係員に報告する」です。
許可を受けたら、使った日ごとに、開始・終了の時刻と、後始末を確かめた時刻と人を記録します。参考様式第9号の欄外には、毎日時間で管理する場合はこの様式を参考に書式を作ってよい、という注記があり、日ごとの記録を足す形はこの注記に沿った使い方です。
| 日付 | 開始 | 終了 | 使用時間 | 終了後の確認時刻 | 確認者 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 11/16 | 9:00 | 11:30 | 2:30 | 12:30 | 〇〇 〇〇 | 済 |
| 11/17 | 13:00 | 16:00 | 3:00 | 17:00 | 〇〇 〇〇 | 済 |
| 11/18 | 9:00 | 15:30 | 6:30 | 16:30 | △△ △△ | 済 |
| 11/19 | 9:00 | 12:00 | 3:00 | (空欄) | (空欄) | 終了後の確認が空欄 |
11月19日は、終了後の確認の時刻が書かれていません。確認したのに書き忘れたのか、確認していないのかが、この表からは分かりません。その日の確認者に聞いて記録を埋め、確認していなかったなら、翌日から終了の報告の段取りを見直します。
終了後に何分たってから見回るかは、法令で数字が決まっているものではありません。記入例では、元請が終了から1時間後の見回りを決めている、という前提で時刻を書いています。元請の決まりがあれば、その時刻を記録します。
火気使用願と消防への届出の違い
火気使用願とよく混同されるのが、消防への届出です。入力候補でも「火気使用届 消防」がよく調べられています。2つは出す先も目的も違います。
| 火気使用願 | 消防への届出 | |
|---|---|---|
| 出す先 | 元請の所長 | 工事場所の消防の窓口 |
| 決まりの元 | 元請の現場の安全の決まり | 市町村の火災予防条例など |
| 目的 | 現場の中で火を使う許可を受ける | 消防に火を使う作業や行事を知らせる |
| 要るかどうか | 元請の決まりで決まる | 条例の内容と作業で決まる |
消防への届出が要るかどうかは、市町村の火災予防条例や、作業の内容によって違います。元請が手続をまとめている現場も多いので、要るかどうかを元請に確かめ、元請が出さない場合は工事場所の消防の窓口で確かめるのが確かです。火気使用願を出したからといって、消防への届出が済んだことにはならない、という点は覚えておくと安心です。
火気使用願でよくある間違いと直し方
火気使用願の間違いは、場所の書き方と、使い終わったあとの扱いに集まります。
| よくある間違い | 直し方 |
|---|---|
| 使用場所が「3階」だけ | 階・方角・通り芯・部屋名まで書く |
| 管理方法を全部丸で囲んでいる | 実際に用意するものだけを選ぶ |
| 期間が過ぎても同じ願で使い続けている | 期間を延ばすときは出し直す |
| 終了の報告をしていない | 日ごとの記録に確認時刻と人を書き、元請に報告する |
| ドラム缶や配管を中身を確かめずに溶断する | 第285条のとおり、危険物を取り除くなどの措置をしてから作業する |
溶接機を持ち込むときは、火気使用願とは別に、溶接機そのものの持込機械等使用届が要る現場が多くあります。書き方は電動工具の持込機械等使用届で説明しています。塗料や接着剤など燃えやすい材料を同じ場所で使うときは、有機溶剤の持込使用届と作業の日を重ねないように調整します。
火気使用願を無料テンプレートで速くするには
火気使用願は、毎日の終了確認を紙の余白に書いていると、どの日が抜けているのか分かりにくくなります。安全書類フクロウの無料テンプレートは、参考様式第9号の記載項目の下に、日ごとの使用と終了確認の表をつけました。
| 火気使用願 | |||||||
| 全建統一様式の参考様式第9号の記載項目に沿った様式です。火気を使う会社が、使う前に所長の許可を願い出ます。使い終わったら、その旨を報告します。元請の指定の様式があれば、そちらに従ってください。 | |||||||
| 提出日 | 2026/11/12 | 事業所の名称 | 株式会社サンプル建設 〇〇ビル新築工事作業所 | ||||
| 所長名 | 佐藤 一郎 殿 | 一次会社名 | 株式会社サンプル工業 | ||||
| 使用会社名( 次) | 株式会社〇〇鉄工(二次) | 現場代理人(現場責任者) | 〇〇 〇〇 | ||||
| 使用場所 | 3階 東側 間仕切り壁の開口補強の取付け箇所(X3〜X4通り) | ||||||
| 使用目的(溶接・溶断・圧接・防水・乾燥・採暖・湯沸・炊事・その他) | 溶接(開口補強の鋼材の取付け) | ||||||
| 使用期間(自) | 2026/11/16 | 使用期間(至) | 2026/11/20 | ||||
| 使用時間(原則)開始 | 09:00 | 使用時間(原則)終了 | 16:00 | ||||
| 火気の種類(電気・ガス・灯油・重油・木炭・薪・その他) | 電気(交流アーク溶接機) | ||||||
| 管理方法(用意したものに「済」、使わないものは「該当なし」) | |||||||
| 管理方法 | 済・該当なし | メモ | |||||
| 消火器 | 済 | ABC粉末 2本 | |||||
| 防火用水 | 済 | バケツ2杯 | |||||
| 消火砂 | 該当なし | ||||||
| 防炎シート | 済 | 下階への火花よけ | |||||
| 受皿 | 済 | スパッタ受け | |||||
| 標識 | 済 | 「火気使用中」 | |||||
| 監視(見張り) | 済 | 同じ会社の作業員1名 | |||||
| 「済」の数(自動) | 6 | 消火器が「済」でなければ使わない | |||||
| 取扱上の注意 | 溶接箇所の周りと下階の可燃物を片付けてから始める。終了後は1時間後に見回る(元請の決まり)。 | ||||||
| 火元責任者(後始末巡回者) | △△ △△ | 火気使用責任者 | 〇〇 〇〇 | ||||
(この下に15行あります。全体はダウンロードしたExcelで見られます)
テンプレートでは、管理方法を「済」か「該当なし」で選ぶと、「済」の数が出ます。日ごとの表に開始と終了の時刻を入れると使用時間が出て、終了後の確認時刻が空欄の日は「終了後の確認が空欄」、確認時刻が終了より前の日は「確認が終了より前」と表示します。期間を書いて1回出し、毎日の使用は下の表に書いていく使い方を想定しています。
火気使用願の書き方のよくある質問
火気使用願は毎日出しますか?
期間を書いて1回出し、毎日の使用を記録する現場と、毎日許可を受ける現場があります。参考様式第9号の注記には、毎日時間で管理する場合はこの様式を参考に書式を作るよう書かれているので、元請の決まりに合わせてください。
電気のヒーターでも火気使用願が要りますか?
参考様式第9号の火気の種類には電気も入っていて、採暖も使用目的の1つです。どこまでを届けるかは元請の決まりで違うので、元請に確かめてください。
終了後は何分後に見回ればいいですか?
法令で何分後と決まった数字はありません。労働安全衛生規則 第291条では、火気を使った者は残火の始末を確実にすることになっています。元請が見回りの時刻を決めているときは、その時刻に見回って記録します。
喫煙所も火気使用願が要りますか?
喫煙所は元請が場所を決めて設けるのが一般的で、下請が火気使用願を出すものではありません。第291条では、喫煙所にも火災予防上必要な設備を設けることになっています。
火気使用願の書き方のまとめ
火気使用願は、火を使う前に元請の許可を受け、使い終わったら報告するまでを1組にした書類で、全建統一様式では参考様式第9号です。
- 使用場所は、通り芯や部屋名まで書く
- 管理方法は、下見で見たものに合わせて実際に用意するものを選ぶ
- 許可を受けたら、日ごとに終了後の確認時刻と人を記録する
- 消防への届出とは別の書類。要るかどうかは元請と消防の窓口で確かめる
- 期間が延びたら出し直す
無料テンプレートを使えば、終了確認の抜けている日が自動で分かります。
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